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坂本真綾さんの英語曲を自分なりに和訳するサイト

『今日だけの音楽』感想

坂本真綾さんの10thアルバム

『今日だけの音楽』の感想つらつら




1)『はじまり』

アルバムのタイトルと、この曲名から『シンガーソングライター』の『遠く』を想像した。けど違った。『Lucy』のような歌詞のないメロディー。ピアノの低い一音に、不穏さと何かのはじまりの予感を感じる。夢の終わりのような、はじまりのような。今いる場所とは違うところに連れていかれてしまう感覚。でも行ってみたいな。この旅の果てには何が待つのだろうか。不安と期待を抱えてつかの間の旅がはじまる。



2)『Hidden Notes』

Ha〜が流れたとき、鳥肌が立った。はじめて聴く歌なのに馴染みがある気がする。朗らかなテンポだけど歌詞は寂しげ。『もし叶うなら あの日あの場所へ返して』。戻れたらいいなと思う瞬間が、ぶああっと脳裏に浮かんだ。これは過去を懐かしむ歌? テンポは明るいのに聞こえてくる歌詞は苦しい。『あなたは---』あなたは、なに?この後に続く歌詞は何だろうって一瞬のうちにぐるぐる考えた。『生きている』。そう生きている。今日だけのあなたを。………………こんなのずるくないですか。戻りたい過去を抱えながら、楽しくもつらい日々を『生きている』。あたりまえだけど、たしかにそうなんだよなあ。昨日生きた。今日を生きる。でも明日もそうとは限らない。明日からのわたしは今日のわたしとは少し、いや決定的に違うかもしれない。なんだか唐突に、生きることの尊さを感じて涙が止まらなくなった。一曲目からこんなに『今日だけ』感強くていいんですか!? 序盤の序盤なのに涙で顔がぼろぼろなんですけど。この後9曲も聞けるかな…明日顔大変なことになってないかな。


『どうか永遠に消えないものをください』

はい!!!このフレーズに坂本真綾感メチャ感じました!!!永遠なんてない、っていつも言ってるくせに(そんなに言ってない)、そんなものはどこにも存在しないとみんな分かってるのに求めてしまう、そこに愛しさや尊さを感じてる坂本真綾…(※個人の解釈です)好きです。多分、この後の曲でも永遠なんてないのに人間は〜みたいなフレーズ登場するでしょ。知らないけど。


『悲しみや怒りを恥じないで。内なる情熱を止めないで』

ああ〜〜〜好き。このフレーズでこの曲が一気に好きになりました。『Hidden Notes』というタイトルはここから来たのかな。ひとはみんな、見えない何かを抱えながら生きている。他人からは隠された何か。でもけっしてひとりではなくて、自分を信じてくれるひとがいる。限りある時間を、今日だけの自分を、今日からのわたしを、生きていく。寂しいのに元気が出る曲だ。ふしぎ。



3)『ホーキングの空に』

ねえ待って!?さっそく『永遠なんてない』というフレーズ来たんですけど!? わたしってば予言者…?

このタイトルを聞いて想像したのは映画『博士と彼女のセオリー』。『この鼓動はいつまで続くのだろう』に、ベネディクト演じるホーキング博士を思い出した。また涙出てきた…すごく独特な曲。一定の法則で進んでいく似たようなフレーズたち。似てるけどちょっとずつ違う。星のはて、旅のはて、時のはてまで、見えない答えを探しながらどこまでいくのだろう。ずいぶん前にfrom everywhereで真綾さんが言っていたけど、宇宙を解き明かすことって、わたしたちの内にあるものを解明しようとすることと変わらないんじゃないかな。知らない何かを解き明かそうとすること、たぶんそれが生きるってことだ。

それにしても本当に不思議な曲。ライブで聴いたら印象ががらっと変わるのだと思う。早く聴きたいな



4)『ユーランゴブレット』

アルバムミリ知らの時点で、わたしの大大大好きなハリー・ポッターシリーズの第4章のタイトル『炎のゴブレット』に似てる曲名の歌があるなあということはなんとなく知っていたんだけど、そのせいで曲のイメージが厳かなクラシックになってた。ところがイントロを聴いてびっくり。これがユーランゴブレット!!?? 思ってたのと違う!

この曲、テンポがとてつもなく早くないですか。ただでさえ歌詞の聞き取り能力が欠けているわたしには、初聴きですべての歌詞を拾うなんて所業はできなかった。しっかり聞き取れたのはこことユーラン〜の部分だけ。なんかボカロに似た速さがある。ついていけない……調べてみたら、作詞作曲を手がけた川谷絵音さん(ゲスの極み乙女のボーカルらしい。名前の読み方はかわたにえのん。かわやえねだと思ったのに違った。性別も想像と違う。知らないことばっかり)という方は、ボカロ制作も過去に何度かされているらしい。


ここからは歌詞カードを見ながらの感想。

『昨日が鬱でも〜』の部分、『君が打つ伝票』に聞こえたわたしの耳って一体……『隣』も『脳内』に聞こえたから脳内の味噌汁の匂いとは??となったし、この曲の空耳選手権があったらそこそこいい線までいけたと思う。

寝ても覚めても明日が来るなんて そんなことはないけど』、好きなフレーズ。日常さえ奇跡的なんだ。寝ても覚めても明日が来るなんてそんなことはないけど、もしも明日がやってきてくれるなら、わたしは今日と変わらず真綾さんの曲を聴くよ


『Todayは今』!!!革命的な新しさ。坂本真綾らしくないフレーズ。でもすごく良い。『3、2、1、0』も新しい。今までワントゥースリーの合図で空を見上げてたから、カウントダウンするの新鮮〜!大晦日のライブでもこの曲で年越ししちゃったりするのかな。

『耳を塞いだその手を貸して どこか連れていくわ』、GNS!ぽさを感じた。弱気になっているところをすくい上げて、こことは違うどこかへ連れていってくれる歌。わたしはこういう曲に弱いんですゥ〜。


『あいにく私は自由さを神様に隠れて手に入れた 会いたい人には会いにいくだけ 命の燃え方 私が決めるだけ あたりまえだけど』

エッ好き!!!!!!!!!!『キャプテン・マーベル』を彷彿とさせるフレーズ。I have nothing to prove to you. ひとになにか言われる筋合いなんてない。こういう考え方が好き。ユーランゴブレット、ハチャメチャに良い曲ですが、キャプテン・マーベルも負けず劣らず良い映画なので全人類観てほしい。

『今日を脱皮します』、すげえフレーズ… 今日『を』脱皮する。分からないような、分かるような。さっきの『〜あたりまえだけど』までの歌詞が個人的に大大大ヒットすぎて、これは正直今のところグッときてない。でもライブ会場でチカチカの(いつかの『バイク』の演出のような)照明のなかこのフレーズを真綾さんの口から直接聞いたら、脱皮沼にドボンするんだろうなと容易に想像できる。脱皮沼ってなに?って感じだけど。


『友よ 私はチケット2枚分優しくするつもり』

ひえ〜とんでもない歌詞だ。とんでもなく汎用性の高いフレーズだ。この感想書くまでに何度かツイッターでヒョロワ〜さんが使ってるの見たもん。わたしもチケットの枚数分だけ真綾さんに優しくされてえ〜!!

『あ〜りが〜とう〜』!!!あのな、わたしな、こう、いままで出てきてたメロディーのギュッと歌詞が詰め込まれてたところに少ない言葉が入る表現がめちゃくちゃ好きなんじゃ…。語彙力がないのでうまく言えないけど、『モアザンワーズ』も似たようなところがあって大好き。

そして『この歌にかまけてないで私も頑張ります』で曲が終わるのってすごい。新しさのかたまりみたいな曲だった。知らない真綾さんだらけなのに、その中にちらちらわたしの好きな昔からの真綾さんがいる。今は斬新さにびっくりな気持ちが大きいけど、きっと聴き慣れたら好きになる曲。わたしもこの歌にかまけてないで明日からも仕事頑張ります



5)『お望みどおり』

聴く前はアラジンの『friend like me』のような曲なのかなって思ってた。妖精や精霊が人間に語りかけるイメージ。だから妖艶な雰囲気で語りかけるメロディーにギャップを感じた。でも俯瞰的な歌詞は予想通りかも。メロディーに対しての声の乗せ方が『宇宙の記憶』に似てる気がする。あの時は新しい坂本真綾の扉にただただ驚かされたけど、この曲を聴いたらこういった切り口の歌い方もいまの真綾さんの武器のひとつだなあと普通に思えた。お姉さんな歌い方。

『おしゃべりの花に沈黙を添えて』、ここのメロディーがめちゃくちゃ好き!『賢すぎても愚かすぎても愛されない』。ああ〜こういう歌詞書いちゃう坂本真綾…人外感があって好き。このあたりの歌詞から、この歌の主人公は役者さんなのかなとぼんやり思った。周りから愛されて、いろんな役を演じる。今日は被害者、明日は加害者。時には有望な将来が待つ若者役だったり。日替わりでなりきって、壮絶なショーでオーディエンスを楽しませる。でもそれは演者さんだけの話だけではなくて、ひとはみんな日替わりで何者かになりきって日々を過ごすのかも。幕が降りるその時まで。血界戦線シュガーソングとビターステップのアニメ映像のようなMVを想像した。ストーリー調のMV作ってほしいよ真綾さん〜!


『さあ足りないでしょう まだ欲しいのでしょう 妬ましいほどに 恥ずかしいほどに』。まだ欲しいのでしょう、の『の』が良い!好みどストライクです… 『最適』な未来、これもまた良き。最高でも最良でもなく『最適』。この言葉選びがまた俯瞰的というか人外感というか、矮小な人間たちの営みを遠くから眺めて娯楽として楽しむヒトならざるものな坂本真綾を想像して楽しくなっちゃう。お望みどおりといいつつ、最後は『あなた次第』と選択の全てを委ねるところも好き。とにかく好きです。セクシーな衣装着てこの曲を歌う真綾さんが見たいよ〜!



6)『オールドファッション』

イントロ聴いて『大塚愛ちゃんみたいだ!』と何よりもまず思った。雨色パラソルっぽさ。だれか分かってくれる人…いないかな。

『だって君は嘘つきだから』から始まる。この時点でピンと来た。この歌、失恋ソングor恋人への愚痴(に見せかけたラブ)ソングだ!その後の『急な心変わりの本当の理由は言わない』で失恋ソング確定。それにしても、『ユーランゴブレット』と『お望みどおり』と歌詞が聞き取りづらい曲(私調べ)が続いたから、ゆっくりなテンポでひとつひとつの言葉がはっきりしているこの歌の聴きやすさよ。調べたら北川さん、扇谷さん、奥田さん、千ヶ崎さん、それから佐野さんと知ってるバンドメンバーだったのも納得。新しさの波に飲まれてたから、実家のような安心感です。


『きらり 水が跳ねるように出会った 身軽さに惹かれて たまにカッコつける仕草が可愛くて』。はい、優勝です。今日だけの音楽選手権優勝しました。ここまで聴いた6曲の中で一番キュンとした。メロディーも可愛ければ歌詞も可愛い。真綾さんの歌い方も可愛い。カッコつける仕草が可愛くて、ですって!かわいい!!!『まきばアリス!』や『ミツバチと科学者』に似てる気がする。つまり大好きってこと。

『この曲が終わるまで君を独り占めさせて 好きだったところだけずっと覚えていたいの』

あ〜〜〜推しカプで想像したらむり。悶えた。切なさと可愛さのフルコンボだドン。

『ふわり〜ほんとの愛に触れたくて』、だから!こういうメロディーと可愛い歌詞に弱いのわたしは!!!!(逆ギレ)

『この曲が終わるまで君の恋人でいたい 楽しかった思い出に今は乾杯しようよ』

この曲が終わるまで、『今は』と限定してるところに大人の女性を想像した。聞き分けの良い大人。それが『ふり』なのかは分からないけど『失恋カフェ』のような初々しい感じはないけど『紅茶』ほど寂しさで胸がぎゅっとなることもない。良い塩梅。ッカァ〜!好き!!!!

『優しくしてずるいとか 後悔しても知らないとか 言いたいことはいろいろあるけど』、ここの畳み掛けるようなメロディー。『まきばアリス!』っぽさ。好き!!!! 最初に聴いたとき『後悔しても知らないんだから』と聴こえた気がしたんだけど、2回目以降は歌詞カードの通りに聴こえた。幻聴…? でも後悔しても知らないんだから!っていう真綾さん可愛くないですか。ライブの時間違えて歌ってくれないかな〜〜


『好きだよって伝えたっけ 二度と言えなくなるから』。ああ〜!!推しカプで想像したらまじで、ほんと、最高……

『このギターのフレーズが好き この時代の香りが好き。いつか一緒に聴いていた曲だよ』

真綾さんの優しい話し方が好きなんだ。女ことばを使うのも素敵だけど、子どもっぽさをにじませた口調が好き。『だよー!』の可愛さたるや。人間国宝??????

『このくらいの季節が好き』、推しカプの受けちゃんに言ってもらいたい台詞No.1

『あかりが( )好き』の( )!!!!吐息!!

この真綾の吐息が好き!!!!!真綾さんの歌で一番好きなのは『ミツバチと科学者』で、これはもう揺るぎない不変の気持ちなんですけど、そこに限りなく迫る猛者が現れた。ひたすらかわいい。あたしゃかわいい真綾ソングが大好きなんじゃよ。ライブで聴くのが楽しみだー!カラオケでも早く歌いたいよー!!



7)『火曜日』

第一印象、邦画(恋愛映画)の劇中歌に使われそう。いじらしいラブソングが好きだからちょっとこれは大人すぎるぜ。自分の経験に重ねられない。こんな穏やかな恋愛したことない…

『ふりむいた君』に鳥肌が立った。ライブ会場で一筋のホワイトライトに照らされた白いオフショルのワンピース着た真綾さんが歌ってるところを見たい。頼むぞフライングドッグ!



8)『トロイメライ

イントロ流れた瞬間にア〜!好きなやつ〜!となった。今回のアルバム、前知識ゼロでア購入して真っ白な状態で楽しもうと思ってたんだけど、今日だけの音楽展に行った時にちょうどトロイメライが会場で流れていて、ウワァ〜!良い曲や〜!!!となり、購入したアルバム開封する前からこれだけ聴いてた。歌詞も覚えるくらい聴きまくったのでこの曲ならもう空で歌える。それくらい印象的で大好きな歌。この曲も愛ちゃんの楽曲に若干似てる。ロケットスニーカーとか。

『打ち上げまで瞬き1回分の1秒』『無重力まで深呼吸1回分の1秒』が好き。バチッと瞬きする真綾さん想像できすぎるのでMV作ってほしい。

『待ってたって始まんないよ 時間ないよ つまんないって言い訳ならうんざりだよ バイバイ』。だから!わたしは!〜よっていう真綾さんが好きなんだ!!!!!(クソでかボイス)坂本真綾にうんざりされて、驚くほど軽い口調でバイバイって言われたい愚民です。トワイライトって言葉、いろんなところでときめきをはらみながら使われることが多いけど、『最新最上級のトワイライト』ってかなり斬新だ。弾けてる感があって良い。


『行けるとこまで 行きたいとこまで行け』

GNS!のような無責任な躍動感。後先考えず、たくさんのわくわくとちょっぴりのどきどきを抱えて飛んでいくんだろうな。

トロイメライは30代の真綾さんが歌うGNS!ポジションな曲かなと思った。でもGet no satisfaction!と高らかに歌っていた20代の真綾さんと違って、この真綾さんは浮世は儚い夢でトロイメライだと知りながら駆け抜けてるんだよな。40代の真綾さんが歌うGNS!のような楽曲もいつか聴けたらいい。


『大嫌いって言ってるだけ 愛があればオーライ』、このフレーズすごくないですか???? 大嫌いと思っていても、それを口にするくらいの愛があれば問題なし。なんだか救われる心地がする。嫌いだと思うことも悪くないよって許されたような、心が軽くなるフレーズ。

『消えていく轍 僕が死んだら全部ばらまいて そうばらまいて 忘れてくれないか』

この歌詞がも〜〜〜〜ほんとうに好き。最後の曲『今日だけの音楽』まで通して聴いた上での感想なんだけど、全11曲の中でいちばん好きな歌詞。わたしも常々同じことを思ってる。死んだら全部ばらまいて忘れてほしい。歴代の推しカプの受けちゃんたちも同じこと思ってそう。こういう考え方が好きなんだと思う。あとね、真綾さんの一人称『僕』、三度の飯よりだ〜いすき。

『もう分かんないよ 全然分かんないよ』、かつて!こんなにかわいく!元気に!分かんないことを歌う人間がいただろうか!!!(反語) かわいい。ただひたすらにかわいい。


『前進と後退を延々と繰り返して 永遠を蹴散らしていけ』永遠を蹴散らす!好き!週刊少年誌の熱血主人公が巨万の富と法外的なパワーを持つラスボスに言いそうな台詞だ。

『やれるとこまで やりたいことだけやれ』。ところではなく『とこ』と言っちゃうところが若くて生意気感あって良い。『ミツバチと科学者』もそうなんだけど、我、根拠のない自信にあふれた力強い言葉が好き侍。でも『教科書に載っていない 地図にも書いていない』と『いない』はちゃんと言う真綾さん。好き。

イントロから駆け抜けてもう終わり?と思っちゃうくらい、あっという間に終わってしまう曲だった。体感1分。Cメロに入るまでの間奏が好きだから、ライブではオリジナルより長めにギターの演奏を聴けたりしたらいいな。



9)『細やかに蓋をして』

ひとつ前の『トロイメライ』に比べると、すごく女性的な曲。歌詞にもメロディーにも女らしさをびしびし感じる。なんでこんなに女性らしさ満載なんだろうと思ったら、歌詞に何度も登場してた。『美だけ切り取ろうと』『美に変えられない悲しみが』、このあたりも今までにない感じでどきどき。どことなく妖艶な雰囲気の漂う歌だけど、もしかして『細やかに蓋をして』という曲名、かなり婉曲的な表現で実はアダルティーなあれそれなんじゃないの!? 考えすぎ…? うーん、でも真綾さんは少年アリスのような、中性的で宙ぶらりんな存在であってほしいとわたしは思ってるから、ちょっとnot for meかな、なんて思った。調べてみるとこの曲も川谷絵音さんって方が作詞作曲したみたい。この人、女性目線の曲を作る天才では?



10)『ディーゼル

こんなこと言ったらどこかからバッシング受けそうだけど言いますね。イントロのメロディーを聴いた瞬間に鈴村健一を想像しました。『バベル』、ほら、曲名もなんとなく似てるし…。朗らかなテンポの中、あたたかい気持ちで進んでいく歌だけど、歌詞はどこか懐かしくてほろっと涙が出そうになる。普段そんなにケンイチスズムラとマアヤサカモトを重ねてキャッキャしたりしない人間なんですが、この歌にかんしてはふしぎとふたりの存在を強く感じた。それぞれが各々の目標を掲げて自分だけの音楽の一本道を進んでいて、その途中で少し似たあったかい曲を歌ったという事実が嬉しい。



11)『今日だけの音楽』

出ました。アルバムのタイトルにもなった曲。アルバム『シンガーソングライター』の『シンガーソングライター』もめちゃくちゃ良い曲で、初聴きでずびずび泣かされたから今回も警戒していたんだ。聴きはじめたら、なんだか馴染みのあるメロディー。どこで聴いたんだっけ、としばらく記憶を巡らせて気がついた。アルバムのいちばん最初の曲。ほんの数十分の前のことなのに、随分前のように思えた。いろんな真綾さんの音楽を聴いてここまで来たんだ。長い長い旅だった気さえする。イントロでうるっと来て、最初のフレーズで涙腺が崩壊した。『ポケットに入ってた それははじめから 長い長い旅のあと 気付くなんて』。everywhereを連想させるフレーズ。

新しい歌はどれも素敵で、聴いて楽しい気持ちになったけど、新しい真綾さんを知るたびにわたしが好きだった前の真綾さんがいなくなってしまう気がして、ほんとはすごく寂しかった。でもそうじゃなかった。どの歌にもこれまでのわたしの大好きな真綾さんがちゃんといて、前と変わらずきらきら輝いてる。長い長い旅のあとに気付くなんて、とあるけれど、旅のあとだから気づけたんじゃないかな、とも思う。あたりまえだけど、今の真綾さんは前の真綾さんの延長線上にいて、わたしの好きだった真綾さんの歌は、今も『ここにある』。everywhereや過去の真綾さんが歩んできた一本の道の上に今があるんだと思ったら、涙が止まらなくなった。

『冷たいビー玉も』の『つ』がめちゃくちゃ好き。透き通っていて、まるで水みたいな、空気をたくさん含んだ真綾さん特有の声。『ここにある』の『に』も好き!全体的に空気に溶けてしまうそうな優しい歌声のこの曲、最高of最高で100点満点です。


『抱きしめたら消えちゃうメロディー』、歌詞が可愛いんよ〜。あまりにも儚い、今日だけの特別な音楽。でもカワイイ〜!と思ったのも束の間で、Cメロでまた泣かせにかかってくる。

『もうすぐ夢から覚める』。やっぱりこの長いようで短い数十分の時間は夢だったんだ。ほんのり悲しくなるけれど、その後に続く『夜明けが明日を連れてくる』に、沈みかけた気持ちがふわっと浮上した。ここ、歌詞も真綾さんの声に含まれる空気の量(?)とメロディーの全部が最高で、鳥肌がぶわあっと立って涙がこぼれた。二度と会えない今日のわたし、抱き合ってさよなら。『歌え 今日だけの音楽を』。文字だけを見ると結構強めな印象。でも聴いてみるとあまりにもしっくりとくる命令口調だった。もうすぐ夜が明けてしまう。明日が来てしまう。そしたら今日のわたしと会うことはもう二度とないんだ。早く、歌わないと、今日だけの音楽を。そんな切ない気持ちがぎゅっと詰まった『歌え』なんだと思った。歌詞の意味を咀嚼するだけで頭と心がいっぱいになっちゃうのに、メロディーも最高に良くて完全にキャパオーバー。

『歌え 今日だけの音楽を』『わたしだけが知ってるメロディー』

たくさんの声が、音が、重なってひとつの音楽が完成していく。終わりに近づいている。終わらないで、と思った。夢から覚めたくないよ。ずっと聴いていたい。でも今日が終わることに悲しむ必要なんてないんだよ、って言われた気がした。夢から覚めたら、夜明けが連れてきた『明日』が今日になる。そしてまた今日からのわたしを生きていく。はじまりも終わりもない。今日が終わって明日が来る。そのループから逃げない。今日だけの音楽を歌いながら、奇跡的な日常を生きていく。『シンガーソングライター』の『生きることは音楽』というフレーズを思い出した。今日だけの音楽展の日替わりラジオで、『どんなアーティストに参加してもらっても今回のアルバムを締めくくる最後の曲は自分で作ると決めていた。錚々たるメンバーに驚いたけど、いまの自分が思うままに歌をつくった。それが今日だけの音楽』だと語った真綾さん。everywhereやシンガーソングライターを思わせるこの曲もわたしにとって大切で宝物みたいな歌になりそう。


アルバム『今日だけの音楽』、感想終わり。

心の奥の方にしまっておきたいと思う歌たちだった。普段から聴くわけじゃなくて、何かの折に大切にしまっておいた宝箱から取り出して聴きたい、そんなアルバム。ライブで聴いたり、数年後に聴いたら感想や好きなポイントががらりと変わりそうだなと思った。そのときはこんな感じでまたつらつら感想まとめられたらいいな。


2019/12/05